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国をつくるという仕事

国をつくるという仕事
西水 美恵子
英治出版
単行本: 320ページ
ISBN-13: 9784862760548
発売日: 2009-04-07
価格: ¥ 1,890 (税込)
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カスタマレビュー

5 世銀で貧困のない世界をつくる夢を追った日々 ( 2010-05-24 )
 歯切れの良い文章は、著者の人柄を彷彿とさせる。米プリンストン大学で教鞭を執って
いた著者は、貧民街で少女の死を目の当たりにしたことをきっかけに、世界銀行に入行し、
勇気あるリーダーの味方になることを誓う。

 著者は、世銀での現場体験を次のように振り返っている。

 「権力者の腐敗と悪統治を敵にまわして戦うリーダーたちの、補佐に徹した年月だった。
自分の仕事は「憎まれ役」だと笑って楯になり、「どうせやるなら大々的に」と、喜んで喧
嘩を買い続けた。」

 各国のリーダーを相手にする仕事。貧困のない世界をつくる夢。頭寒足熱。政情不安を
抱える途上国のリーダーに、「人民の意を把握し、民に希望を与える努力を」と進言する。
一歩間違えれば、自身が生命の危機に晒される危険な仕事である。23年間の世銀での仕事
を通じて、著者がなし得たことははかり知れない。

 しかし、本書が、世銀での仕事の紹介に留まるものではないことは明白である。優れた
リーダーとの出会いから、自らの人生を導くリーダー、すなわち、己を発見したこと。こ
れこそが、著者が読者に伝えたい最大のメッセージではなかろうか。

 正直な子供たちや感性豊かな女性たちを自らの師と仰ぎ、現場で体験した知識を国王や
政治家に進言する著者は、正しくリーダーそのものである。クールに、リアルな現実を求
めて現場に踏み込んでいった著者のリーダー像が、本書の至る所にちりばめられている。
体験から自らを奮い立たせる著者に学びたいと思う。

4 世直しにこんな方法があったのかと ( 2010-02-16 )
世界銀行という名前だけは知っていたものの、
一体何をするところか分からなかったが、国家に金を貸し付けるのが仕事のようだ。
国家をなすものは国民。そうすると、世銀の顧客は目の前の貧困者でもある訳だ。

融資する側からすると国家トップは経営者、国は経営母体と考えられます。
融資するにあたって組織運営が適正に行われているか、
西水さんは草の根で国を見て回り、国家元首に迫る。
「あなたは自分の国の国民がどんな暮らしをしているか知っているのか」と。

とてもスケールの大きな仕事ですが、
やってる事は至極当たり前の事。
しかし、腐った世の中では正論は権力や政治より力を失ってしまう事がある。

その時にいかに国家元首級の人間と渡り合えるか、
西水さんの自分のするべき仕事と役割への徹底したブレのなさは、
彼女の心に沈み込んだ貧困の中で死んだ少女の姿に常に還元される。

人間には常にそうやって戻るべき原体験が必要なのかもしれない。
思想の核と言えるような、その人を成す根源といえるようなものが。

5 「怒」 ( 2010-02-13 )
 本書で取り上げられている国々への知識が乏しかっただけに 本書で描かれる各国の状況に聊か衝撃を覚えながら頁をめくった。僕自身タイにかつて住み、現在インドネシア在住だが 僕の見えている範囲では タイもインドネシアは非常に上手く行っている国であると痛感した。勿論 見えていない範囲では色々と問題はあるのだろう。しかし そもそも本書にタイもインドネシアも出てこなかったことに 少々ほっとした。それほど 本書から見えてくるインド、パキスタン、バングラディシュといった国の大変さが思われたからだ。

 本書を一字で言い表すなら「怒」だ。著者はとにかく ひたすら怒っている。「怒り」とは 「冷静さを欠いている感情的な状態」なので好ましくないという批判も可能かもしれない。但し著者の無類の行動力の源泉は 「怒」にあると思う。加藤周一も「目の前で子供が殺されたら とにかく怒らなくてはならない」と言ったと聞いたことがあるが まさしく その「怒る」体力と知力が著者のバックボーンだ。

 その「怒り」のせいもあってか 本書の記述には 若干感情的に流れる部分も正直 散見される。例えばモルディブへの著者の見解の矛盾も指摘しようと思えば簡単だ。但し そんな 細かい感想を本書に持つべきではないとも思う。なぜなら 本書は研究書ではなく ある種のアジテーションであるからだ。

 日本に生まれたことの僥倖を感じた。そんなことを言うと著者に またもや怒られることは必至だが 本音である。自分の所与の条件の中で 何かやれることを考えるべきではないかと思い始めたところだ。

5 2009年の一番心に残った1冊 ( 2009-12-27 )
恥ずかしながら私は世界銀行というものの存在すら知りませんでした。

リーダーシップについて関心がある人なら、難しそう、と敬遠しないで
読む事をオススメします。

西水さんの文章はすごく簡潔で淡々とした描写が多いのですが、
そこから読み取れるものは多いです。
「短くて的確な」言葉に、リーダーらしさが表れていると思います。

理念・理想に向かって情熱を意思に、行動に変えていくという流れが
大変参考になりました。
いつかブータンに行きたいと思いました。

1 これはいったいなんなのだろう ( 2009-12-22 )
評価の低いレビュアーのいわれるところ(自分のした仕事の具体的内容が書いていない)はまさにそのとおり。つけくわえるならば、この人の管轄のバングラデシュのグラミンのマイクロファイナンスと世銀の対立について、どうしてまともな説明が書けないのか。ここに書いてあることと、ユヌスの本の説明とを読み合わせると、世銀が一方的に悪いとしか思えない(そして彼女はこの時期、南アジアの局長から副総裁になっている。要するに彼女の失敗だ)。そのほかにもモルディブ政府について書いてあることがあまりに分裂しているので、この本の信憑性というか論理性に★ひとつ与えるのも惜しく思われる。これが世銀クォリティか(ちなみに世銀の50年とかいう論文があって、世銀はもう終わっているという見解もある由である)、有名なアメリカの大学経済学博士の行く末かと、情けなくなった。
PS この方は各地の農村訪問の際に「りんご1個+バナナ1個はいくつ?」という質問をするそうだ。評者にはこういう発想の方を理解することはとてもむずかしい。

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